知っておきたい労働審判

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訴訟への移行は負担が倍増

労働審判では、期日内に調停が成立しない際は労働審判が下されますが、この労働審判に対して納得することができなければ二週間以内に異議申し立てを行うことができ、その場合は通常の民事訴訟へと移行されていきます。労働審判に納得ができなかった際には、もう一度納得できるまで争えるという意味ではメリットになるのかもしれませんが、そもそも労働審判は、時間や費用が訴訟よりもかからないところがメリットとされているのに、訴訟へと移行されてしまえば、さらに時間と費用がかかってくるというデメリットを生んでしまうでしょう。しかも、労働審判の際に準備した証拠書類は民事訴訟には引き継がれないため、新たに証拠物を準備しなければならないうえに、労働審判の記録も民事訴訟に引き継がれることがありませんので、改めて訴えの内容を提示した書面を作成しなければならなくなるなど、訴訟への移行による負担は計り知れません。
しかしながら、現状では労働審判による調停での解決が約7割、労働審判での終結が約2割、民事訴訟への移行が約1割となっており、労働審判に対して異議申し立てを行うケースは少ない傾向にあるといえます。これは、労働審判そのものが、双方の権利関係を踏まえて、個々の事案に順応した柔軟な解決案であるために、異議申し立てが行われないということも大いに関係していますが、中には異議申し立てをした後の民事訴訟にかかる費用や時間などの負担を懸念して、労働審判に従っているということがあるかもしれません。
また、労働審判から民事訴訟への移行には労働審判に対する異議申し立てが行われた場合だけでなく、3回期日では審理が終結しないと予測されるような複雑な内容の事案であっても、労働審判の手続きは行われずに民事訴訟へと移行される場合があります。労働審判内で終結したいと思っていても、労働トラブルの内容が複雑であれば当事者の意思とは無関係に、裁判所の判断で民事訴訟へと移行されてしまうので、労働審判内で解決できる労働トラブルでないと予測できるのであれば、最初から民事訴訟を起こすことを視野に入れておくべきかもしれません。