知っておきたい労働審判

労働審判なら「知っておきたい労働審判」へ! - 対象となる労働トラブルとは?

どんなときに利用できるのか?

費用と時間が比較的かからず、実効性を持つ労働審判制度は、一個人の労働者にとって、万が一、労働トラブルに見舞われた際にはとても頼りになる制度であることがお分かりになったことでしょう。しかしながら、この労働審判制度は全ての労働トラブルに利用できるというわけではありませんので、このことについて理解しておく必要があると言えます。
前述のとおり、労働審判制度は個人の労働者と企業側との間に起こった労働紛争を解決に導くための制度であり、労働組合と企業の間に起こった労使紛争や、公務員が当事者となる労働トラブル(懲戒処分や配置転換など)は対象外となります。また、3回という短期間で調停の成立または審判を下さないとならないため、この短期間で主張と立証が可能となるような紛争であれば労働審判制度が利用できますが、複雑な事案になってくると民事訴訟へと移行される可能性があることを覚えておきましょう。

現在、実際に労働審判制度が利用される労働トラブルは、大きく分けると三つの種類に分類することができますが、まず一つ目は不当解雇等を無効とし従業員としての地位の確認を求める「地位確認請求」で、申し立て件数が最も多く、全体の約半数を占めています。二つ目は残業代や退職金などの未払い賃金の支払いを求める「支払い請求」で、これは一つ目の地位確認と合わせて、解雇の無効と解決金の請求として申し立てられるケースも多くなっていますが、労働時間についての争いがある場合はその主張と立証に時間を要すると判断される可能性があり、そうなると労働審判から訴訟へと移行されますので注意が必要となります。最後に三つ目は、セクハラによる精神的苦痛や、過労により命を落とした場合に対する慰謝料の支払いを求める「損害賠償請求」となりますが、事案によっては複雑すぎて、短期間での主張と立証が困難であると判断され、こちらも訴訟へと移行される可能性があると言えるでしょう。
また、三つ目の損害賠償請求の場合に注意しなければならないのは、労働審判制度はあくまで「個人の労働者」と「使用者である企業」の間に起きる労働トラブルを解決するための制度となりますので、セクハラやパワハラを行った特定の上司を相手取ることはできません。